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あなたと"やりたい"を叶える

つながりNo.2/大沢良輔さん

つながりNo.2/大沢良輔さん

 少し時間が空いてしまいましたが、2人目の方は言語聴覚士(以下、ST)の大沢さんです。PTの私が脳内筋肉馬鹿にならないためにも、STの方からお話を聞けることは大変貴重です。

 

ーそれでは自己紹介をお願いします。

大沢良輔です。

言語聴覚士(13年目)/PlusAlphaという個人事業を行っています。

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ーSTのきっかけ

 母親が医療関係者だったこともあり、STに興味を持ちました。また、私は岩手県の海沿い出身なのですが、当時、岩手でSTがいる施設はとても少なく、周辺の街含めてもSTは3人程度しかいませんでした。そのため、自分がSTになり地元で貢献したいとおもったもの目指すきっかけの一つです。

 

ー大沢さんがSTになってからの活動を教えてください。

 最初は言語障害の方の力になりたくて茨城の急性期病院に勤務していました。しかし、病院勤務での8年間は言語障害の方に比べて嚥下障害の方に携わる機会が圧倒的に多かったのです。理由は肺炎(7割が誤嚥性肺炎)が死亡原因の第3位まであがり、その根底にあるのが嚥下障害だったためと言えます。また、365日リハビリに対する違和感がありました。365日リハビリが悪いとは思っていません。必要な方に手厚くリハビリを提供することは、とても大事だと思っています。しかし、日本の高齢化率は今後も高まる一方です。その結果、社会保障費がますます膨らみ、当然国の借金も増えていきます。たかがリハビリ加算と思う方もいるかもしれませんが、リハビリ効果の薄い方にも介入せざるをえないことが多く、その点に罪悪感を抱いていました。

 8年間、臨床に関わりやりがいを感じる一方で、自分が本当にやりたいことは何かを考えるようになりました。それまでは臨床・研究・教育を中心に考えていましたが、やりがい・収入・時間確保のバランスへと変わっていきました。嚥下障害の勉強も好きだったのですが、やはり言語障害の方に対して専門的に携わりたいと思い個人で事業を始めようと思いました。

 個人事業をはじめてからH30年の4月で5年目を向かえます。事業当初は依頼が無く、営業しながらもうまくいかない日々が続きメンタル的にしんどい時期が続きました。営業が嫌になり、公園で1日ボーッとしていたこともありました。本当にしんどかったです。開業当初はやりたい事業を優先していました。先ほども話しましたが、私は言語障害の方向けのリハビリに興味があり専門的に事業を進めていきたいと考えていました。しかし、営業をしていても当事者の方も含め『言葉は話せなくてもよい』と訴える方が多く介入にはほとんど至りませんでした。逆に依頼が多かったのは、病院から退院した後の嚥下障害の方々からでした。当時は東京含め関東圏にはSTほとんどいなかったからだと思います。その中で、社会的課題に取り組むことも大切だと考えるようになり、やりたいこと(言語障害の方への取り組み)ではなく、必要とされていること(誤嚥性肺炎予防)をやるかたちになりました。(本音としては、仕事もなかったこともあり生活が苦しかったため藁にもすがる思いもありました。)

 現在は施設へ訪問し、経口維持加算のための指導と介入をしています。そして、働くうえで大切にしている事があります。施設への介入は月1回を基本とすること、患者本人への介入と同じくらい施設職員や家族への介入を重要視しています。もちろんご自身でできる自主トレのプログラムを作成しお伝えしています。月1回では不十分では?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。これは過去の介入データですが、患者を囲む方々への介入に力を入れることで十分な機能改善が見られたのです。

 

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  今後、経口維持加算はSTなら誰でもできるようになっていくでしょう。現状で満足せず、どんどん活動の幅を広げていきたい。

 

ー活動の幅を広げていくとは??

 嚥下機能を維持・向上させるためには、栄養面の安定が必ず大事であり、嚥下訓練だけでなく身体機能の維持・向上も必須です。1つの側面に限らず全体像を掴みながら、①対象者様がリハビリを手軽に受けられる。②携わる方々は知識や技術を高めつつ無理をしない範囲で介入できる。③施設であれば経口維持加算といったかたちで加算を取ることができる。このように正の循環を作ることが大切であり、私の介入頻度が少なくても、身近にいる方やご本人様のモチベーションが高まれば誤嚥性肺炎を予防できるという事を示せるように今後も活動を続けていきたいと思っています。

 また、新しい取り組みとして就学前教育を行っています。下のグラフをざっくり説明すると、幼児期に様々な事を学ぶことで子供の成長が高まりやすいということを示しています。

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 この就学前教育というのは学力に限らず、意欲や体力、健康面、社交性なども含めた総合的なものです。介入としては、この時期に子供へ沢山の様々な事を経験させることで、その後の成長をフォローしていきます。

 現状では、3歳検診まで子供の発達についての不安を伝える場所が多くありません。親の不安→検診→医療機関という流れができています。検診の際に不安を伝えると医師の診療へつながり、簡単に診断名がついてしまいます。親としては診断が付くことで障害者としてのレッテルが張られてしまうためとてもセンシティブな問題です。しかし、検診の前に気軽に相談できる環境があることで、診断名が付く前に介入できます。実際に子供たちに介入させていただいていると、診断がついている子供でも少し介入することで、問題なく生活できる子供たちはたくさんいます。

 私の場合ですが、NPO団体と連携して提供しているため、1時間1000円で受けることができ、利用者の金銭的な負担も軽減しています。検診の前に気軽に相談できる環境を設けセラピストが関わることで親御さんや子供たちを支えることが出来ています。現在では月60人ほど介入させていただいています。今後はこちらの活動にも力を注いでいきたいです。

 成人・小児問わず、できるだけ少ない頻度でアセスメント・モニタリング・プランニングを見直して環境調整できるかが私の役割だと考えています。

 

ー今後の展望を教えてください?

私の理想はこんな感じです。

誤嚥性肺炎の予防(月1回の介入で結果を出す。)

○就学前教育の必要性を文化へ

○STを楽しみ、他の分野にもチャレンジしていく。

この3つを理想に活動していきたいです。

 

ーお決まりですが、行ってみたい場所・おすすめの場所は?

 人と会うことが旅行の醍醐味だと思っています。なので、川崎君の生まれ育った場所がどんな場所なのか興味がありますね。ぜひ紹介してください。

↓ 私の地元のお祭り 毘沙門天大祭に行ってきました。↓

ohirune-therapist.hatenablog.com

ー特に大沢さんの小児分野への関わり方はもっと広まって欲しいと思います。